「拍手をしていたのか。」
セキトはの様子を見ていたようだ。はそう、とはにかんだ。 「手には色んな意味を込めることができるんだな。」 しみじみとセキトが言うので、 「も一緒に拍手する?」 誘ってみたら、いやオレはいいんだと少し笑った。 「代わりに……」 セキトがすっとの手をすくい上げ、そのなめらかな肌が、に触れた。ふっくらとした幼さを残しながらも、芯には少年が青年に成長しようとする確かな力強さを感じる。 「、どうしたの?」 問いには答えず、セキトはの手を自らの口元にクイと引き寄せた。手の甲にそっと触れたそれは、艶やかで少し濡れているような がその名称を思い浮かべる前に、セキトはくるりとの手を返し、もう一つ同じ愛撫を落とした。 「……手には、色んな意味を込めることができるんだ。」 顔を上げ、さらりとそう言ってを映す赤い瞳は、世界を知り始めた無邪気な子供のものか、深い思慮と洞察を隠した狼のものか、分からないほどに綺麗だった。 fin. 目次に戻る |