死蝶の禁貨










お父しゃん、ちょうちょ。
ちょうちょさんが、死んでるよ。


お父しゃん、
ちょうちょさんのそばに、禁貨おちてた。


お父しゃん、
ちょうちょさんも禁貨あつめてたの?


ちょうちょさんのお願いごと、なんだったのかな。


ぼく、ちょうちょさんの代わりにちょうちょさんのお願い、
かなえてあげるよ!


あ、そうだよね。
ぼく、ちょうちょさんのお願い、知らないや。


……?
願いをせおうって、どういうこと?


大きくなったら、せおえるの?


うん! じゃあぼく、大きくなったらちょうちょさんのお願い、
せおってあげるね。
それまでちょうちょさんの禁貨、借りないでおくね。




Fin.


コロッケは静かに禁貨を蝶の横に置いた。
それから黙ったままじっとその死を見つめていた。
バーグも息子にならい、そうして二人は長い間その場所にとどまっていた。




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