なみだあめ
しとしとと雨の降る日だった。
コロッケが窓際に座っていた。彼は景色を見ているのではなく、雨に濡れた窓を見ているのだった。フォンドヴォーがそうだと分かったのは、食べ物のたくさんつまった袋を持った、買い物帰りのテトの桃色の傘が外に見えているのに、コロッケが何の反応も示さなかったからである。
「コロッケ。」
フォンドヴォーが呼ぶと、彼は振り向いた。
「何見てるんだ。」
コロッケは少しはにかみ笑った。
「外、見てたんだ。」
言って彼はまた窓のほうに目をやった。そうして彼が本当に窓の外を眺めているのか、それとも無数の水滴が張りついたガラス板を見つめているのか、フォンドヴォーには分からなかった。それで彼はただ、よく降る雨だなとつぶやいた。窓のほうを向いたまま、コロッケはうんと返事をした。
「フォンドヴォー。」
少し間を置いて、コロッケが言った。顔はやはり窓に向けたままだったが、きっと微笑んでいるような、そんな穏やかな言い方だった。
「雨って、涙とおんなじ流れ方するんだね。」
雨粒は窓の上をゆっくり転がり、途中で遭遇した他のそれを吸って、流れて落ちた。その動きがあちらでも起こり、こちらでも起こり、次から次へと起こり、コロッケは先程からそれらをずっと、見つめていたのだった。
フォンドヴォーは少しの間、少年の後ろ髪を見た。それから、うんと返事をした。
「……コロッケ。」
再びフォンドヴォーが呼んだ。コロッケは振り向いた。
「夕飯、クリームシチューだぞ。」
「えっ、ほんと!」
にっこり笑ってフォンドヴォーはうなずく。
「じゃがいもの皮むき、手伝ってくれるか。」
「うん!」
コロッケはぴょんと立ち上がると、フォンドヴォーより早く台所へ向かった。フォンドヴォーはわずかに目を細めて、彼の背を追った。
雨は優しく降っていた。涙色の水滴がひとつ、つっと静かに流れていった。
Fin.

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