物言いたげな様子で視線を向けられている気がしたのでむむが振り向くと、案の定、みみみは少し言いにくそうに、あのさぁと切り出した。
「むむ、ちょっち胸貸してくんない?」
「はぁ? なんだよ突然。」
「うん……なんか急にシッポウのこと思い出しちゃってさ……。」
 うつむいたみみみは、だがすぐにへへっと笑って顔を上げた。
「悪ぃ悪ぃ、気にすんな! やっぱ大丈夫だから!」
 むむは先の発言を少しだけ後悔しながら、わざこに手をやり、腰帯から抜いた。
「……ほらよ。」
 わざこを傍らに立て、むむは一人分寄りかかる場所を用意した。みみみは自分から依頼しておきながら意外だったのか、数度目をぱちくりさせた後、微笑んだ。
「ありがとう、むむ。」
 そしてそっと、むむに寄りかかる。 むむはあれっと思った。
 こいつ、こんなに小さかったっけ。
 初めて見るみみみの姿に、正直むむは困惑した。
 胸貸してやったものの、どうすればいいんだ、オレ。





 みみみは小さくすすり泣いていた。失った友を想い、悲しみと自責の念に堪え切れなくなっているのだった。そういえばあの時は、激励のためとはいえ、きつい言い方をしてしまったなと、むむは思い出す。
 むむは、宙に浮いていた手を、ゆっくりとみみみの背中に置いた。そうしてみみみの気が済むまで、互いの体温を分かち合った。
「若いっていいわねぇ……。」
 わざこがなんだか楽しそうにつぶやいた。



ブラウザバックでお戻りください