死人守











 そのガルーラは、死んだ子供を腹袋に抱えていた。

 モモカがそのガルーラに会ったのは、島巡りを始めたばかりの頃だった。
 アーカラ島の北端、八番道路。パートナーのモクローを頭に乗せて、海辺の潮風が心地よい道を歩いていたら、崖下の岸辺に大きな塊が寝転がっているのを見つけた。それは波が打ち寄せる岩ばかりの場所にうずくまって、全く動かない。

「モクちゃん、なんだろうあれ……。もしかして、ガルーラ!?」

 ガルーラは子供を腹袋に入れて育てるので有名なポケモンだ。モモカは本物のガルーラを目にするのが初めてだったから、あかちゃんを一目見てみたいと思った。ガルーラの腹袋に視線を向けて首を伸ばしたりひねったりするモモカを真似て、モクローも首を九十度ひっくり返す。
 しばらく観察を続けた後、モモカは「あれ?」と口に出した。
 確かに袋の中に子供がいる。けれど見えそうで見えない。いや、そもそも。
 子供は、動いていない。

「モクちゃん、大変! ガルーラのあかちゃん、なんか様子がおかしい……!」

 モモカは助けを求めるため、急いで近くのポケモンセンターに走った。
 慌てるモモカにまず対応してくれたのは、受付の女性職員だった。事情を説明し終えると、担当者を呼んできますと言われる。モモカがモクローを抱きしめてそわそわしていると、現れたのは五十代くらいの壮年男性だった。看護服ではなく作業着姿だが、ポケモンセンターの職員を示す名札を付けているので、待っている相手だと知れた。
 彼はモモカが件の報告者だと確認すると、淡々とした口調で「あのガルーラの子供はもう死んでいる」と告げた。

「二、三日前からこの辺りをうろついてるガルーラでな。要観察個体だ。見つけた場所はどこだ? 様子は?」

 問われるままにモモカが答えると、男はうなずいた後、「変化なしか」とつぶやいた。

「報告ご苦労、島巡りトレーナー。じゃ、ちょっと確認してくるわ。」
「はい、クサナギさん。お気をつけて。」

 受付職員がぺこりと頭を下げた。
 クサナギと呼ばれたその男性職員の背中にモモカが声をかけるまでに、悩んだ時間は数秒だった。

「待って! あたしたちも行く!」

 モクローも同じ声音でぽっぽろと鳴いた。
 振り返ったクサナギの片眉が、けげんそうにつり上がった。



「ガルーラは子供が死んだことに気づいてないの?」
「どうだろうな。ポケモンは賢い生き物だ。おそらくわかっているとは思うんだが。」
「この辺りに住んでるガルーラなの?」
「いや、もともとの生息地はヴェラ火山の奥深くだ。人前には滅多に姿を現さない。それがこんな場所に居ついてるから、要観察なんだよ。」
「クサナギさんはガルーラの専門家?」
「違う。ただのポケモンセンター救急部員だ。」
「救急部員ってどんなお仕事するの?」
「こうやって異常行動を取る野生ポケモンへの対処とか、手持ちポケモンが動けなくなったトレーナーの救助とか、その他諸々の雑務担当だよ。知りたがりの島巡りトレーナーのおしゃべり相手とかな。」
「へえー。救急部員ってすごいね!」
「…………。」

 嫌味のまったく通じていない無垢な子供に、クサナギは心の中でため息をついた。
 それからモモカたちはガルーラに視線を戻した。一行は八番道路の岩陰に身を隠し、岸辺に居座ったままのガルーラを観察していた。

「ガルーラ元気ないね。けがしてるのかな。」
「いや、大きな外傷はない。」
「病気とか。」
「採餌行動は減ってないから、その線も薄いだろう。」
「サイジコードーって?」
「飯はちゃんと食えてるってこと。」

 答えた後クサナギが小さなノートに何かを書きつけだしたので、モモカはいったん口をつぐんだ。
 八番道路に吹く潮風は穏やかで、キャモメがのんびりと鳴き交わしながら沖に出ていった。
 モモカはクサナギがメモを終えたことを確認すると、「あのさ」と話し始めた。

「ガルーラ、ゲットするのはどうかな。そしたらポケモンセンターに運べるでしょ。けがも病気もないって、ちゃんとわかれば安心だし。」

 それに、とモモカはクサナギのベルトに取り付けられたボールホルダーを見る。三個のモンスターボールがそこにぶら下がっていた。

「クサナギさん、ポケモン連れてるんだよね? 三体もポケモンいるなら、野生ポケモン一体くらい簡単にゲットできるでしょ。」

 なるほどそいつは名案だと賛成されることは、モモカも期待していなかった。しかしクサナギはにこりともしないどころか表情を動かしもせず、ぼそりと返事をした。

「二体だ。」
「え?」
「俺が連れているポケモンは二体。こっちのモンスターボールは、空。」
「ふーん……じゃあなおさらいいじゃん。その空いてるモンスターボールにガルーラを入れれば」
「駄目だ」

 ぴしゃりと返ってきたクサナギの口調が予想外に鋭くて、モモカは思わず息を飲んだ。
 クサナギ自身、そこまで強く言うつもりはなかったようだ。少しやわらげた声音で言葉を続けた。

「これは……空のままでいいんだ。それに保護目的であったとしても、できるだけ野生ポケモンは捕まえたくないと俺は考えている。」
「どうして?」
「よかれと思ってポケモンセンターで治療しても、それがトラウマになることがあるからさ。極端に攻撃的になったり臆病になったりして、元の生活に差し障るケースもある。捕獲による保護は最終手段だ。野生ポケモンに対しては可能な限り手を出さず、見守りで終えたい。ガルーラは当面、観察継続。」

 モモカは大人しくうなずいた。クサナギの意見は筋が通っている。反論を許さないオーラがひしひしと伝わってきた。
 だからクサナギが空のまま腰に下げているモンスターボールについては、それ以上聞けずじまいだった。



◓◓○

 その夜モモカは八番道路のモーテルに泊まった。朝になると手早く準備を済ませ、モクローの口にポケモンフーズを押しこんで、ポケモンセンターに向かった。

「アローラ、クサナギさん!」

 センター内のカフェでコーヒーを買っているクサナギに、モモカは元気よく手を振った。モクローはまだフーズをもぐもぐしながらモモカの頭上で羽ばたき、ポケモンなりの挨拶をした。
 クサナギはちょっと目を丸くして二人を見つめた。

「アローラ……。昨日の島巡りトレーナーじゃないか。何しに来た。」
「もちろんガルーラの観察の続きだよ。クサナギさん継続って言ったでしょ。さっ、ガルーラ探しに行こう!」

 クサナギは困惑した表情を浮かべた。

「君たち島巡り中だろう。試練はいいのか?」
「だってガルーラのこと放っておけないもん!」

 賛同するように、モクローもくるるっと鳴く。
 クサナギはぽりぽりと頭をかいた。

「島巡りトレーナー、名は?」

 ようよう口を開いたクサナギに、モモカは威勢よく返事をした。

「モモカです! そしてこちらはパートナーのモクちゃん!」
「ぽろっ!」
「試練はいくつ達成した?」
「一つ。ヴェラ火山公園で!」
「手持ち傷薬の数は?」
「えと、三個。あとオレンとモモンの実もあるよ。」
「ふーむ、なるほどな……」

 クサナギはモモカとモクローを品定めするように眺める。モモカは少し背筋を伸ばした。モクローも心なしか縦長になる。
 クサナギが口を開いた。

「フィールドでは俺の側から離れるな。指示には必ず従うこと。見回りに出るのは十三時からだ。五分前にはポケモンセンターのロビーにいなさい。」

 言い残し、クサナギは去っていった。ガルーラの観察に付いて行ってもいいということだろう。モモカはモクローを抱きしめて喜んだ。



 そういうわけでモモカは八番道路のモーテルを拠点にし、ちょくちょくクサナギの巡視に同行するようになった。
 クサナギは最初こそ早く島巡りを続けるように促したが、やがて言うだけ無駄だと理解し、黙って付いてこさせるようになった。
 クサナギはつかみどころのない男だった。モモカに対してそっけない態度を取ることも多いが、まったくの放置というわけでもない。仏頂面だが、時々は笑顔をこぼすこともあった。
 意外だったのは、ある日モモカがポケモンセンターのロビーでモクローとくつろいでいた時のことだ。センターの一画がにわかに騒がしくなり、見ると小さな男の子が二人、ソファ席の上できゃんきゃん叫んでいた。

「おにいちゃんがこわしたー!」
「壊してないよ! ここをこうして……ん、おかしいな?」
「こわしたー!」

 わーっと、年下のほうが泣きだしてしまった。兄弟のようだ。両人ともまだ島巡りできる年にも達していないだろう。泣きわめく弟をなだめようとして、兄は必死に手の中で何かをこねくり回していた。ぺらぺらで四角い……紙だろうか?

「なんだろうあれ。折り紙かな?」

 モモカとモクローは一緒に首をかしげた。
 従業員扉から、騒ぎを聞きつけたクサナギが現れた。クサナギは兄弟の座っているソファに向かうと、ひざを付いて幼児たちと目線を合わせ、両者の言い分に耳を傾けた。

「それでね、おにいちゃんがぼくのツツケラ、こわしちゃったの。」
「だから壊してないってば! すぐに直るって……」

 どうやら弟のおもちゃのツツケラを、兄が台無しにしてしまったらしい。
 クサナギは「わかったわかった」と二人をなだめた。

「俺に任せな。ほら、そのペーパークラフト貸して。」

 クサナギはしばらく預かった物の構造を観察していたが、やがて手を動かし始めた。するとあっという間に、小さなツツケラが組み上がった。

「はい、できあがり。首のところが外れやすいから、優しく持つんだよ。」
「わー! おじさん、ありがとう!」

 弟はもう機嫌が直って、紙のツツケラを高く掲げて遊び始めた。ちょうどそこで、幼児らの父親らしき男性が現れた。トイレに行っていたようだ。
 小さなトラブルを片付けた後、クサナギはモモカとモクローがいるのに気がついて声をかけた。

「なんだ君、いたのか。今日のガルーラ観察は終わりだぞ。」
「島巡りトレーナーがポケモンセンターにいたって、別にいいでしょ。」
「それもそうだな。それで試練は順調なのかい?」

 わかって尋ねているクサナギの意地悪い笑みに、モモカは「えへへ」と愛想笑いだけで答えた。

「それにしてもクサナギさん、ちょっと意外だったなー。」
「何でだよ。センター職員がセンターに来たお客さんの相手したって、別にいいだろ。」
「そうじゃなくて。あの子の、ペーパークラフト? あっという間に直したじゃない。手先、器用なんだね。」

 モモカはクサナギのごつごつした手を眺めた。たくさんの人やポケモンを救助するのと同じ手が、繊細な作品を組み立ててしまうなんて、不思議な感じだ。
 ああ、とクサナギはほんのわずかに照れた様子だった。

「昔、ああいうクラフト系が好きだったんだよ。それこそあの子供らの年くらいの時に……。」
「へえー、そうなんだ。どんなの作ってたの?」

 しかしクサナギは答えなかった。「クサナギさん?」と声をかけると、クサナギはハッとしてモモカを見た。

「あー、すまん。もう長い間やってないから、忘れちまった。」

 そうしてさっさと従業員扉の向こう側に去っていった。
 何か悪いことを言ってしまったのだろうか。
 モモカは呆然として、クサナギの背中を見送ることしかできなかった。



 そういうこともあって、モモカは早々にクサナギという人間に好意と興味を持った。
 巡視の時間にクサナギと一緒にポケモンセンターを出発し、死んだ子供を抱えたガルーラの様子を観察。クサナギがフィールドノートにメモを書きつけるのを眺め、ポケモンセンターで解散する……。そんな変わらない日々が、モモカのお気に入りになった。
 いや「変わらない」は語弊がある。明確な変化が一つあった。日を追うごとに、ガルーラから発せられる異臭が強くなっていたのだ。モクローは嫌がってモモカの胸に顔をうずめてばかりいた。

「腹の子供が腐ってるんだろうな。」

 クサナギが推測した。モモカは思わず眉根を寄せる。そんなモモカとモクローの様子を見て「もう島巡りに戻ってもいいんだぜ」とクサナギは勧めた。モモカはすぐに首を振った。

「ガルーラがちゃんと棲み処に帰れるまで、見守りたい。」

 クサナギはモモカの横顔を眺め、フッと小さく息を吐いた後、「そうか」とつぶやいた。
 モモカは一つ提案をした。

「ねえ、ガルーラのあかちゃん、なんとかして回収できないかな」
「ん? あの死んだ子供をか。」
「そう。お腹の中に死体が入ったままだと、ガルーラにとっても良くないでしょ。臭いもだいぶひどくなってきたし……取り除いてあげられないかな。」

 クサナギは少し考えた後、「あまり賛成できないな」と答えた。

「悪臭を放とうがボロボロに朽ちようが、ガルーラにとってあれは大切な子供なんだよ。それを無理に奪われるほうが苦痛だろう。」

 モモカは大きな瞳にクサナギを映した。そんなふうには思いもしなかった。死体を抱えていたら重いし臭いし辛いだろうと、自分の視点でしか考えられなかった。

「クサナギさんは、すごいな。」

 今度はクサナギが目を開いてモモカを見る番だった。

「何が。」
「ちゃんとガルーラのこと考えてる。ポケモンの気持ちがわかるみたい。」

 は、とクサナギは口の端を歪めた。

「まさか。俺だって想像さ。ポケモンの本当の気持ちなんて……わからないよ。」

 小さな声で付け加えたクサナギは、どこか遠くに視線を向けているようだった。
 クサナギの言うことは正しい。モモカもモクローといつも一緒にいるけれど、まだなんとなく感情が伝わる気がするだけで、モクローのことを真に理解しているのかと問われれば、自信をもってうなずけない。人間とポケモンはあまりにも異なる生き物だから。

(だけどいつかクサナギさんみたいに、ポケモンのこと思いやれるようになれたらいいな。)

 いつの間にかモクローが、モモカの腕の中でうたた寝していた。



◓◓○

 モモカがガルーラに出会って一週間ほどが過ぎた。
 腐った子供から漏れ出る悪臭のピークは終わっていた。今は干からびつつあるんだろう、とクサナギは言った。モモカが顔をしかめたので、あまり想像するなよ、と付け足された。
 ガルーラ自体はずっと落ち着いていて、子供が死んでいることと人里に下りてきていることを除けば、普通のポケモンだった。
 だからその日もモモカは、いつも通りモクローを頭上に乗せてクサナギの隣に並び、他愛ない雑談をしながらガルーラのいそうな場所に向かっていた。
 二人の会話は、突然とどろいた大きなうなり声に中断された。

「なんだ?」

 異常を察知したクサナギはすぐに声の元へ急行する。モモカも後に続いた。
 深い草むらを抜けると、一本の大木の下、怒りもあらわに対峙するガルーラとマケンカニの姿を発見した。

「けんかだな。大方、きのみが原因か。」
「そんな……。ガルーラいつもおとなしいのに。」
「小競り合いしているうちに、マケンカニが子供に手を出しちまったのかもしれん。」

 クサナギの言う通り、確かにガルーラは常に腹を守る形でマケンカニに攻撃を繰りだしていた。マケンカニも負けじと応戦し、拳をガルーラに命中させる。ガルーラは大木にぶつかってもんどりうった。これはチャンスと、マケンカニは追い打ちをかけるため構える。

「ああっ、ガルーラ! やめてマケンカニ! モクちゃん、止めて!」

 モモカが木の葉を飛ばすよう指示したのと、モクローが実際に技を繰り出したのと、クサナギが「ばかよせ!」と叫んだのとが同時だった。
 マケンカニの動きは確かに止まった。しかしその標的は、明らかにモクローに定められた。島巡りを始めたばかりのモモカたちは、こんなに激しい敵意に満ちた野生ポケモンの目を初めて見た。あのマケンカニの攻撃をまともに食らったら、モクローは怪我では済まない。肌が粟立つほどそう感じるのに、モモカは唇さえ動かせなかった。
 モクちゃんに何か指示しなきゃ。
 モクちゃんを助けなきゃ。
 その考えばかりが、すくってもこぼれ落ちる水のようにモモカの頭をぐるぐるめぐる。ハンマーにも似たマケンカニの拳が、モクローの脳天めがけて振り下ろされる!

「カガミ、トーチカ! モクローを守れ!」

 モンスターボールが放つ閃光と共に、クサナギの声が飛んだ。
 次にモモカが見たのは、水色のトゲトゲした物体がドーム状になってモクローを包みこんだところだった。ハンマーの殴打はドームに弾き返され、マケンカニは地面に転がって泡を吹いた。
 ドヒドイデだ。
 クサナギのドヒドイデの絶対防御技、トーチカがモモカのモクローを守ってくれた。
 マケンカニはドヒドイデのとげに触れて毒を食らったらしく、草陰にふらふら退散した。

「クサナギさん、ありが――」
「逃げろ、モモカ!」

 お礼の言葉はクサナギの怒声にかき消された。
 モモカの背後で、怒りに我を失ったガルーラが両手を振りかざして立っていた。
 悲鳴すら上げられなかった。血走ったガルーラの目を見たと思ったその瞬間、モモカの体に鈍い衝撃が走り、モモカはクサナギと並んで地面に倒れ伏した。

「ぐっ……!」
「クサナギさん! 大丈夫!?」

 クサナギがモモカにほとんど体当たりする形で、モモカをガルーラの爪からかばったのだった。
 答える暇もなく、クサナギは二個目のモンスターボールを握っていた。

「タマ、峰打ち!」

 ガルーラに向かって放った一閃――召喚されたのは、ジュナイパーだった。
 ジュナイパーはボールから出た直後にはもう臨戦態勢を整えていて、鋭い蹴りをガルーラに食らわせた。ひるんだガルーラに、クサナギは懐から別のモンスターボールを取りだして投げつけた。ガルーラが吸いこまれ、ボールは数度揺れた後、捕獲完了を示すランプを点灯させて動かなくなった。
 静けさが戻ったフィールドに、モモカの呼吸と心音だけがやたら大きく鳴り響いている気がした。
 ガルーラを収めたボールを拾うクサナギに、ジュナイパーとドヒドイデが近寄った。ありがとう、よくやったと、クサナギが手持ちポケモンたちを労う。彼らにもクサナギにも、怪我はないようだ。

「君たちも無事か。」

 クサナギがモモカに尋ねた。
 ドヒドイデの足の中に隠れながら戻ってきたモクローが、モモカの胸に飛びこんだ。ぽろぽろと甘えるように鳴いて、大事なさそうだ。モモカはうなずいた。

「そうか。ならいい。」

 クサナギは小さく息を吐くと、ジュナイパーとドヒドイデをボールに収納した。それからガルーラのボールと一緒に、ベルトのホルダーに装着した。
 捕獲による保護は最終手段。以前クサナギが話していたことを、モモカは思い出していた。その手段を使わせてしまったのは、モモカのせいだ。

「あの、クサナギさん……ごめんなさい……。」

 しゅんとするモモカとモクローを見てクサナギは、今度ははっきり聞かせることを意図してため息をついた。

「君は俺の側を離れてはいない。指示も与えていなかった。適切に注意しなかった俺の責任だ。怖い思いをさせてすまなかったな。早くポケモンセンターに戻ろう。」

 モモカは何も言えなかった。謝罪の言葉も、感謝の気持ちも、承知の返事さえ、どんな声で口にすればいいのかわからない。ただ黙って小さくうなずいた。クサナギがそれで十分とみなして歩きだしてくれたのが幸いだった。モモカは重い足をなんとか踏みだした。
 その拍子に、こつんと何かがモモカの靴先に当たる。
 空っぽの古いモンスターボールだった。

(クサナギさんのだ。)

 モモカは直感して、それを拾いあげた。ガルーラに襲われた時にホルダーから外れたのだろうか。ボールは二つに割れ、中身が見えていた。

(何だろう、これ……紙?)

 ペーパークラフトだと、モモカは思った。しかし異様だったのは、それがズタズタに切り裂かれていたことだ。せっかく作った物に、誰かがむちゃくちゃに刃を当てたような。元はどんな形だったのか、モモカには見当もつかなかった。
 そこでモクローがモモカの頭をくちばしで突いたので、モモカは顔を上げた。クサナギはもうだいぶ先まで行ってしまっていた。クサナギの側を離れてはいけない。モモカは拾ったモンスターボールをペーパークラフトごとポーチに入れ、急いでクサナギの後を追った。



◓◓

 ポケモンセンターの窓から外を眺めれば、空も海も大地もすっかり闇に沈んでいた。
 モモカはロビーのソファに腰かけて、ガラスに映った自分の姿をぼんやりと見つめた。腕の中でモクローが寝息を立てていた。
 クサナギとガルーラが治療室に入るのを見届けた後、モモカは何もできないと知りながらもポケモンセンターを離れられなかった。それでロビーのソファに腰かけていたのだが、モモカも少し眠っていたようだ。

「気分はどうですか?」

 顔を上げると、センターの受付職員が心配そうにこちらをのぞきこんでいた。湯気の立つカップを手に持っている。

「エネココアです。飲めそう?」

 モモカはうなずき、カップを受け取った。ありがとうと言ったつもりだったけど、声はかすれてほとんど音にならなかった。
 一口すすったココアはモモカを熱く満たし、心も体も芯からほぐしてくれるようだった。夢中になってその甘味を享受した後、やっと一息ついてモモカは尋ねた。

「ガルーラは無事なの? クサナギさんは?」
「大事ありません。今、ガルーラは療養室にいて、クサナギさんが付き添ってくださっています。クサナギさんから聞きました。あなたにすごく怖い思いをさせてしまったって。」
「ううん。あたしが悪かったの。よく考えもせずに飛びだしちゃったから。クサナギさんが助けてくれた。とってもカッコよかったんだよ。クサナギさんも、クサナギさんのポケモンたちも。」

 受付職員は微笑んだ。

「ええ。彼らはクサナギさんの長年の相棒です。島巡りの頃からの付き合いだって。」
「じゃあクサナギさんの最初のポケモンって、モクローだったんだ。あたしたちと同じ!」

 モモカの大声に驚いて、モクローが目を覚ました。

「そうね。大大試練も彼らと一緒に突破したって仰っていたわ。」
「大大試練を……!? すごい。」
「クサナギさんはこのポケモンセンターの中で一番強いんですよ。それでよく他の職員から他地方のバトル大会への出場を誘われたりするんだけど、アローラの外にはあまり興味がないみたいで……。」
「そうなんだ。絶対優勝できそうなのに。」
「ねえ。きっとクサナギさんにはクサナギさんのお考えがあるんでしょう。」

 クサナギの「お考え」はモモカには全然わからなかった。そんな彼の奇妙な落とし物を拾っていたことを、モモカは思い出した。切り裂かれた紙片の入った、空っぽのモンスターボール。以前これについて尋ねた時は、はぐらかされてしまった。クサナギの考えも、このボールが何かも全然わからないが、

(やっぱり返すべきだよね……。)

 モモカは「あの」と受付職員に言った。

「ガルーラの所に……クサナギさんに会いに行きたいんだけど、お願いできますか? 渡さなきゃいけない物があるの。」

 受付職員は少し意外そうに目を開いた。だがモモカの真摯な思いが通じたのか、ややあって「いいですよ」と応じた。



 ガルーラの療養室は廊下の突き当りにあるそうだ。本来なら従業員しか入れない場所にいるのはちょっとドキドキして、モモカは意味なくひっそりと歩いた。定位置――モモカの頭上に収まっているモクローも、心なしか息をひそめている様子だ。
 目的の部屋にはすぐたどりつけた。扉が半分開いており、クサナギの姿が見えたのでそこだと分かった。しかし「クサナギさん」と言おうとして、モモカは思わず口をつぐんだ。

「……まない。いや、初めから期待なんてしていなかったか。」

 クサナギの話し声がする。しかもかなり込みいった雰囲気だ。彼の他に誰かいる? モモカはそっと扉に忍び寄り、中をのぞいた。

「君は本当によく頑張ったと、俺は思うよ。すべてわかったうえで子供を抱え続けていくのは、さぞ苦しかったろう……。」

 どうやらクサナギが床に座り、柵の向こうのガルーラに話しかけているらしい。療養室は頑丈な鉄柵で二分されていた。手前側の人間用スペースは全体の三分の一ほどだ。
 ガルーラは力なく横たわっていたが、その目がぱっちり開いて耳もクサナギの方に傾いているのが、モモカのいる場所からでも知れた。腹袋には白い布の塊が入っている。おそらく治療の際に子供の死体をいったん取り出し、布に包んで返したものだろう。
 クサナギは静かに話し続けた。

「理解できるなんておこがましいことは言えないが、それでも少しは想像できると思う。俺も似たようなもん、持ってたからさ。もう使えないモンスターボールを……。」

 モモカはどきりとして、手中のボールを確認した。

「俺は死んだお守りをそこに入れて、ゼロだとわかっている可能性に長い間しがみついていた。けど、さっき失くしてるのに気づいたよ。たぶん君が殴りかかってきた時に落としたんだろう。ありがとな。おかげで……。」

 彼の言葉はそこで途切れた。
 沈黙。
 モモカは、入室するなら今しかないと思った。クサナギはこの落とし物を探している。返さなければならない。
 モモカは療養室の扉を大きく開けた。

「クサナギさん。」

 クサナギは、少なからず驚いたようだった。「君か」となんとか発した彼の声が続きを紡ぐ前に、モモカは空のボールをクサナギに突き出した。

「これ、拾ったから返しに来たの。大事なもの……なんでしょ。」

 クサナギはボールを受け取り、黙ったままだった。もしかして余計なお世話だったかとモモカは不安に思ったが、怒られたり断られたりする気配はない。モモカはクサナギの様子をうかがいつつ、そっと隣にしゃがみこんだ。クサナギは制さなかった。

「どこから聞いてた?」

 何から話そうかモモカが考えていると、クサナギのほうから口を開いた。

「俺の独り言だよ。聞こえてたんだろ」

 クサナギが薄く口角を上げた。隠すことに意味はないとモモカは悟った。

「ええっと……似たようなもの持ってるって辺りから……。」

 疲れたように笑いを引きずって、クサナギは頭をかいた。気分を害してはいなさそうだ。それでモモカは思いきって尋ね返した。

「そのモンスターボールが、そうなの?」
「ああ。」

 クサナギはボールを開くと、中からボロボロの紙片を取り出した。

「で、これが死んだお守り。」

 ガルーラも体勢は変えないまま、じっとクサナギの手元を見つめていた。
 続きを促していいものかモモカが思いあぐねていると、代わりにモクローがぽっぽろとさえずった。それを契機に、モモカは聞いた。

「それはどういうものなの?」

 クサナギは目を閉じ考えた。人もポケモンも、お互いの呼吸や拍動が間近にあると感じるような、静寂の時間だった。

「これは元々、俺の作ったペーパークラフトだった。俺が島巡りする二、三年前の話だ。」

 クサナギが語り始めた。
 昔のクサナギは細かい手仕事遊びが好きで、よくペーパークラフトや木彫り人形の製作にふけっていたのだと言う。

「でも親父が嫌がってな。男らしくないとか思われてたんだろう。だんだん、夜に部屋でこっそり作るようになった。そんな頃、不思議な友達に出会ったんだ。」
「不思議な友達……?」

 うーん、とクサナギは難しい顔をする。

「正直、いまだによくわからない。動くペーパークラフトと言うか……白くて、紙で出来たような見た目で、大きさはこのくらいで」

 とクサナギは両手でモクローが入るくらいの空間を示した。

「とにかくそいつが窓から俺の部屋にやってきてな。俺の作品の周りを興味深そうに飛ぶんだ。変なやつだなあと思いながら俺は、即興でそいつの姿を真似たペーパークラフトを作ってやった。そしたらそいつ、大喜びしてなあ。それから毎晩、俺の所に遊びに来た。」

 その時モモカはクサナギの表情を見て驚いた。彼は今までに見せたことのない、優しくて悲しい目で、手元の紙片を眺めていた。死んだ子供を腹に抱き続けたガルーラと同じ目だと、モモカは思った。

「そいつの腕らしき部分が剣みたいだったから、俺はそいつをツルギって呼んだ。ツルギは俺のペーパークラフトがずいぶん気に入って、新しいのを作るたび喜んだ。俺も嬉しかった。俺の作品を認めてくれるのは、ツルギだけだったから。だが……」

 クサナギの声が落ちる。

「やがてツルギの存在が親に見つかった。親父はツルギを、ペーパークラフトにゴーストポケモンが憑いたのだろうと言って嫌悪した。お前がそんなものを作っているからだって、かなり責められたよ。作品全部と一緒に、ツルギを燃やしてこいと命じられた。」
「えーっ、ひどい!」

 モモカと同時にモクローが短い悲鳴を上げ、ガルーラもうなった。
 だよなあ、とクサナギは苦笑した。

「俺も今ならそう思う。けど子供だった俺は、泣きながら従うしかなかった。ツルギはもちろん状況を理解できなかった。ツルギに顔はなかったが、次々と作品を火にくべる俺を信じられないって目で見ていたのはわかったよ。」

 クサナギは苦しそうなため息を一つ吐いた。

「だけど俺はどうしても、最初にツルギを真似て作ったペーパークラフトとツルギだけは、燃やせなかった。それで俺はツルギに、そのペーパークラフトを持って元いた場所に帰れって言ったんだ。ツルギは聞かなかった。だから俺は、火の点いた薪を拾って、ツルギに……」

 それを振りかざしたと、告白するクサナギの声はひどく弱々しかった。

「ツルギはとても怒った。あるいは怯えた。当然だよな。そしてその剣のような腕でペーパークラフトを滅多斬りにして、二度と姿を現さなかった。」

 クサナギの手の中で、切り刻まれた紙片がかさりと音を立てた。

「俺は深く後悔した。ツルギの正体はわからず終いだが、ゴーストポケモンが憑いてるならボールに招けばよかったんだ。俺はツルギに……謝りたい。そしてボールを差し出したい。身勝手な願いだとわかっちゃいるが、俺は常に空のモンスターボールを持ち歩くようになった。アローラにいれば、いつかツルギに再会できるかもしれないと……。」

 長い沈黙が続いた。
 それを破ったのはクサナギ本人だった。

「はい、おじさんのつまんない過去語りは以上! 悪かったなガルーラ。そんなことがあったから、勝手に君に共感してしまっていた。でもおかげで吹っ切れたよ。俺はようやく、この空っぽのモンスターボールを手放せると思う。」

 ガルーラに感謝を込めた微笑みを向けるクサナギの姿を見て、モモカはいたたまらない気持ちでいっぱいだった。ポケモンたちも同じのようだ。ガルーラはじっとりした目でクサナギを見つめ返し、モクローは何か言いたげに喉を鳴らした。

「あのさ、クサナギさん……。」

 気づいたらモモカは、言葉がまとまる前に声を発していた。

「別に手放す必要、ないんじゃないかな。」

 クサナギはきょとんとした。モモカは少し語気を強めた。

「だって大事な物なんでしょ。だったら、無理に捨てなくていいじゃん。ガルーラのあかちゃんを布で包んで返してあげたみたいに、ツルギとの思い出のことも、ずっと大事にしていいんじゃない? 無理に奪われたら苦痛なんでしょ?」

 クサナギはモモカを見つめた後、はは、とため息とも自嘲ともつかぬ呼気をこぼした。

「まいったな……。」

 そして、切り裂かれた紙片の入ったモンスターボールを、抱きしめるようにぎゅっと握った。

「ありがとうな、モモカ。」

 モモカは首を振った。

「ポケモンたちも心配してると思う。」
「そうだな。君たちも、ありがとう。」

 モクローは胸を張り、ぽっぽっと返事をした。ガルーラは声を上げることはなかったが、ゆっくりと敷きわらが準備された寝床に移動し、丸く寝そべって満足そうに目を閉じた。
 きっともう、大丈夫だろう。
 布越しに子供をなでるガルーラの愛しげな手つきを見て、モモカとクサナギはそれぞれにそう思った。



◓◓

 ガルーラは経過観察のため一昼夜ポケモンセンターに預けられた後、野生へ返された。
 モモカはリリースに立ち会い、続く数日も八番道路ポケモンセンター付近に滞在していた。その間、迷いガルーラを見たという報告は一度もなかった。それは、ガルーラ観察と称してクサナギと一緒にフィールドに出る日々の終わりを意味していた。
 いつかは迎えると知っていたことだ。モモカはさしてためらうことなく、「島巡りを続ける」とクサナギへ挨拶しに行った。するとクサナギはカフェスペースに誘ってくれた。
 カウンターにクサナギと並んで座りながら、モモカは安心半分寂しさ半分でつぶやく。

「ガルーラ、お家に帰ったね。」
「ああ。子供と一緒に、な。」

 クサナギがおごってくれたエネココアは、いつもより甘くて優しい味がした。

「クサナギさんは一緒じゃないの。空っぽのモンスターボールと。」

 彼のホルダーに二個しかボールが下がっていないのを見て、モモカは尋ねた。

「やっぱり……捨てちゃった?」
「まさか。」

 クサナギがおかしそうに肩をすくめた。

「君が言ったんじゃないか、手放す必要はないと。家に置いてきたよ。もう肌身離さず持たなくてもよくなっただけ。」

 モモカはうなずいて、ココアを飲んだ。とても温かかった。
 モクローはクサナギのジュナイパーと並んで、カフェのマスターにもらったポケマメを美味しそうに頬張っていた。あらためて見ると、クサナギのジュナイパーは老成した風格のあるポケモンだ。古い樹木の木肌にも似た灰茶色の翼に身を包み、冠羽は端が切れて逆三角形様になっていた。クサナギと共に生きてきた長い年月のどこかで失ったのだろう。それでも、失くしたものより得たもののほうをよく知っていそうな、穏やかな顔つきをしていた。

「ねえクサナギさん。クサナギさんのポケモンのニックネームの由来、聞いてもいい?」

 モクローのついばむ先にそっと柄付きのポケマメを差しだすジュナイパーを眺めながら、モモカは尋ねた。クサナギはドヒドイデのことをカガミ、ジュナイパーのことをタマと呼んでいた。

「ああ……。カガミは、鏡を見るのが好きなやつでな。そう呼んでやったら嬉しそうだったから、そのまま使ってる。」
「タマは? すごく可愛い名前。」

 ジュナイパーが顔を上げて、るるるる、と喉の奥で鳴いた。返事をしたようにも、喜んでいるようにも聞こえた。タマは俺が付けたんじゃねえよと、クサナギは弁解っぽく言う。

「最初のポケモンだって見せたら、おふくろがえらく気に入ってさ。玉みたいに丸いねえって何度も繰り返すもんだから、それを名前だと学習しちまって。」
「単純ー。」
「そういう君のモクちゃんはどうなんだ。」

 今度はモクローが呼ばれたと思って顔を上げた。その頭をなでてやりながら、モモカは歯切れ悪く答える。

「んー、じつはね、モクちゃんは仮のつもりなんだ。本当はもっと可愛くてかっこよくって、ジュナイパーに進化しても似合いそうなニックネームを付けてあげたいんだけど、良いのが浮かばなくて……。」
「そりゃ十中八九モクちゃんで定着するな。」
「うう、反論できない……。」

 クサナギにクックッと笑われたのが悔しかったので、「でもクサナギさんのかっこいいジュナイパーがタマちゃんなら、うちの子もモクちゃんのままでいいや」と思ったことは、内緒にしておいた。
 彼がこんなふうに笑う人だとは、最初に出会った時は想像だにしなかった。どちらかといえば気難しそうなおじさんだと感じたものだ。
 今は、こんなふうに情が深くポケモン想いの島巡り大先輩に出会えて、モモカはとても嬉しく思っている。
 カップを空にした後、いよいよ島巡りに旅立つモモカとモクローを、クサナギはポケモンセンターの外まで見送りに出てくれた。

「達者でな。島巡り、頑張れよ。」
「うん。クサナギさんもお仕事頑張って。ここに来れば、またいつでも会えるよね?」
「ああ。」

 と口にしてからクサナギは「いや」と言い直した。

「保証はできないな。そのうちいなくなってるかもしれん。」
「え、なんで? ポケモンセンター辞めちゃうの?」
「そういう訳じゃない。ただ……ちとやりたいことを思いついた。」
「どんなこと?」
「秘密だ。まだ具体的じゃないし、準備もいるからな。ま、しばらくはここにいるさ。気軽に遊びに来いよ。」
「うん……。」

 それ以上は尋ねても無駄そうだった。
 それでモモカはクサナギに別れを告げ、モクローと一緒に真っ直ぐ道を歩き始めた。
 クサナギとジュナイパーは、彼らの背中が見えなくなるまでそこに立っていた。



◓◓◓◓◓◓

 遠い地方で開かれたバトル大会で、司会が表彰台の頂点に掌を向け、叫んだ。

「優勝は、アローラ出身のクサナギ選手ー!!」

 時を同じくして、アーカラ島八番道路のポケモンセンターに、奇妙なガルーラの目撃情報が入った。ヴェラ火山の奥地にいるそのガルーラは、腹袋に子供だけでなく布の塊のようなものを抱えているらしい。

 モモカとモクちゃんたちが島巡りを終え、それらのニュースを耳にするのは、まだずっと先の話である。









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